満月の日の出産と聞くと、“大潮”という言葉を合わせて聞いたことはありませんか。
少し難しい話になりますが、避けては通れないので、まずは月と大潮の関係からお話します。

地球の衛星である月。
月それ自体も引力を発しているので、地球の7割を占める海水は、月の引力によって引っぱられ量が増えたり減ったりします。
月に向いた面の海水は、月の引力によって持ち上げられるので、海水の量が増え、満潮になります。
満潮は月に面した海水だけでなく、その反対側の海水でも起こります。

さらに、地球に対して月と太陽が直線上(満月or新月)に重なると、海水は月と太陽の両方の引力によって引っぱられ、満潮と干潮の差が大きくなります。
構図としては、
【新月】太陽―地球―月
【満月】太陽―月―地球

満潮と干潮の差が最も大きいこの時期を、“大潮”と呼ぶのです。

女性の月経周期はおよそ28日前後ですよね。
生理の1日目から排卵までが約14日、排卵から生理前までが約14日。
個人差はありますが、ほとんどの人がこのサイクルで毎月生理と付き合っていると思います。
不思議なことに、先ほど話した満月と新月の関係も、女性の月経周期とほとんど同じなのです。
月の満ち欠けもおよそ28日。
新月から満月までが約14日、満月から新月までも約14日。
この周期で、月は満ち欠けを繰り返しています。
この事実だけでも、妊娠などに関係なく、女性の体と月は何かしら関係していると考えてもおかしくないでしょう。

また、人間の体の8割は水分でできています。
さらに言うと、妊娠中のお腹の中にある羊水の成分は、水素、酸素、ナトリウム、塩素・・・すなわち海水と構成がよく似ているのです。
まだ医学の発達していなかった頃、昔の産婆さんは、月の満ち欠けを見て出産の予定を立てていたと言われています。
海が月の引力によって荒れたり穏やかだったりするように、通常より多くの水分を体に備える妊婦さんは、やはり何かしら月の引力による影響を受けていると言えそうです。

ママのお腹の中にいる赤ちゃんは、妊娠4～5週目あたりで、目が形成され始めます。
妊娠22～23週目で、くっついていたまぶたが開くようになり、25週目になると、羊水の中でもまばたきを始めます。
ライトをママのお腹に直接当てると、赤ちゃんはまぶしくて顔をそむけるそうです。
また、ライトを点けたり消したりすると、赤ちゃんの心拍数が変動したという研究結果も出ているそうです。
ママが日光浴をしていると、光の具合でそれを感じると言われるように、赤ちゃんは、視覚が発達してくると、お腹の中にいても光を感じることができるそうです。
お腹の中にいる赤ちゃんが満月の明るい光を感じ、月の引力に導かれて出産が多くなるという意見があるのですが、あながち否定できないような気がします。

昔から、狼男は満月の夜に変身するなんて言われますよね。
満月の日には犯罪や事故が多かったり、魚やカメ、馬の出産なども満月の日が多いなんて言われています。
それらに科学的な根拠はないのですが、月を意味する英語の“Moon”やラテン語の“Luna”には、実は、「狂気の」とか「ぼんやりした」などという別の意味もあるのです。
「女性は満月を見てはいけない」という言い伝えは、日本に限らず、アイスランドやインド、ブラジルでも昔から言い伝えられていると言われています。
月の引力が最大になる満月の日は、やはり生物にとって何かしら精神的な影響があるのではないかと思われます。